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ディーゼル機関車の山陰専用機と言えばDD54だが、それ以前に無煙化の立役者
となったのはDF50である。スタイリッシュなDD54に比べ、無骨で地味な印象の
DF50も個体差を意識すると、その渋い魅力の虜になる。KATOのDF50(茶)発売
予告は、それを後押ししたと言ってよい。何しろ最盛期の昭和41~42年には
米子機関区に41両ものDF50が配置され(最大は昭和59年のDD51で84両)、
山陰本線の優等列車や長距離普通列車の牽引に活躍していた。
そこで、先ずDF50のタイプの違いと装備の変化について整理しておく。
●初期型(1~7):前面の屋根のカーブが大きく、前面窓も大きい。
屋根モニターの形状や窓の数が異なる。中間台車が中央にある。
●量産機:ズルツアー・エンジン=1200PS(8~65)
:マン・エンジン=1400PS(501~573)
・煙道の小型化◇←◆(長) ・ワイパーの新型化 ・前面貫通扉のHゴム化
・アフタークーラーの新型化(48~、545~550、557~)
・前面手すりの大型化(48~、545~、それ以前のものも早い時期に大型化)
・エアーフィルターカバーの新型化(56~、557~)□←■十字型
・機械室覗き窓(41~、537~、530~534以外は後に改造で設置)
※但し、例外あり。 ◇◆□■=後述の凡例(新旧)
◎朱色の新塗装への塗替え(昭和38年~昭和40年頃に完了)
・最終増備車(569~573)は新製時から朱色
=米子区配置車の特徴(いずれも末期の装備)=
・大型スノープラウ(通年の装着は昭和38年以降と思われる)
・エアーフィルターカバーは新旧が混在(末期は新型が主流)
・タブレット防護プロテクター(乗務員扉窓に横棒2本、同下部に小ゴム板)
・台車砂箱(当初は全軸、後に第1,6軸のみ)
こうしたことを踏まえ、製品に手を加えて特定機を再現する。選択肢として、
初期型はマイクロエースの茶色しかなく、量産機はTOMIX製(絶版)とKATO
製それぞれに茶色と朱色がある(KATOの茶は2016年2月発売予定)。また、
KATOにはメイクアップパーツもあり、銀河モデルN-921≪限定品≫十字型
フィルター&煙道(長)DF50初期型用がTOMIX製品の改造に重宝する。
これらの製品を1個ずつ使い(マイクロエース製品は重連セットのため2両)、
動力が古いTOMIX製はズルツアー形、新動力のKATO製をマン形として、主に
煙道とエアーフィルターカバーの組み合わせで作り分け、計6両を配備する。
いかにも落成時らしい新品のKATO製に対してTOMIX製の中古品はくたびれた
感じが却ってリアルで、市販のパーツと各部の色差しによるディテール
アップが楽しい。一方、初期型2号機のレアな朱色への塗替えは大掛かり
だった。
①DF50 2[米:昭和40年8月転属配置~昭和42年7月転属](三菱)◇□
マイクロエースA1371 ◎朱色への塗替え ・小型煙道に交換(←57号機)
・新型エアーフィルターカバー(KitcheN 61系客車日除け板で代用)
・信号炎管(KATO製品付属パーツ) <製品仕様(7号機も共通)>
保護柵付き、旧型ワイパー、運転台窓Hゴム黒、台車砂箱(中間台車なし)
②DF50 7[米:昭和32年9月新製配置~昭和42年10月転属](三菱)◆■
*急行「出雲」牽引(昭和38年5月)…「国鉄時代」vol.5付録
マイクロエースA1371(茶色) ・スノープラウ取り外し
・ナンバー付け替え(6→7) <製品仕様> 煙道(長)、十字型フィルター
③DF50 54[米:昭和36年3月新製配置~昭和44年9月転属](三菱)◇■
TOMIX 2204(朱色) ・十字型フィルター、保護柵(銀河モデルN-921)
・ナンバー末尾削除(旧製品:543印刷済み) ・製造銘板(RLF 213)
・スノープラウ取り付け(ワールド工芸C51キット) <製品仕様> 小型煙道
④DF50 57[米:昭和36年9月新製配置~昭和44年9月転属](三菱)◆□
*急行「だいせん」牽引(昭和37年2月)…「レイル」No.67
TOMIX 2224(ブラウン) ・煙道(長)に交換(銀河モデルN-921)
・ナンバー(製品に付属) ・スノープラウ取り付け(←7号機)
・保護柵(トレジャータウンTTP243) <製品仕様(54号機も共通)>
新型フィルター、旧型アフタークーラー、新型ワイパー、台車砂箱(全軸)、
タブレットキャッチャーなし(2・7号機は1エンド側のみ、569号機は4箇所)
⑤DF50 529[米:昭和34年6月新製配置~昭和48年10月廃車](川崎)◆■
KATO 7009-2(茶) ・保護柵(トレジャータウンTTP243)
・ナンバー(製品に付属) <製品仕様> 煙道(長)、十字型(田の字形状)
フィルター、旧型アフタークーラー、黒Hゴム前面ガラス、スノープラウあり
⑥DF50 569[米:昭和38年7月新製配置~昭和51年9月転属](川崎)◆□
KATO 7009(朱色) ※煙道(長)、スノープラウ(メイクアップパーツ)
・ナンバー(インレタで合成) ・保護柵(銀河モデルN-250)
・2エンド側プロテクター白(プラ板) ・乗務員扉手すり色差し(白)
・タブレットキャッチャー色差し(銀) <製品仕様> 新型フィルター、
新型アフタークーラー、旧型ワイパー、運転台窓Hゴム(グレー)、
一方向形SG煙突、台車砂箱(第1,6軸のみ)
<①③⑥(朱色)共通> ・乗務員扉保護棒(銀河モデルN-250をカット)
・同下部小ゴム板(カワマタKA-028)
=米子機関区DF50配置履歴=
昭和32年5月~9月 3 4 5 (3) 昭和32年11月 7 8 (2)
昭和33年10月 7 8 14 15 16 22 23 24 25 26 501 502 503 504 505 506 507 508 (18)
昭和36年4月 7 8 41 42 43 44 48 49 50 51 52 53 54 55 501 502 503 504 505
506 507 508 509 525 526 527 528 529 536 (29)
昭和40年7月~昭和42年9月 転属配置 1 2 3
昭和43年3月 42 54 57 58 59 61 62 501 502 504 505 506 507 508 510 521 522
524 525 526 527 528 529 536 538 539 540 545 546 547 559
564 565 566 569 570 571 572 573 (39)
昭和48年3月 501 502 504 505 506 507 508 510 511 512 513 521 522 524 525
526 527 528 529 536 538 539 540 541 545 546 547 550 559
564 565 566 567 568 569 570 571 572 573 (40)
<製造> 三菱重工業、日本車輌(22号機のみ)、川崎車輌、日立製作所
=DF50が牽引した山陰本線の主な列車=
【ぶどう色2号の時代】 昭和32年10月~ 急行「出雲」
昭和33年10月~ 準急「白兎」、
大阪-大社間の夜行列車など
昭和36年10月~ 急行「だいせん」「三瓶」など
昭和37年2月~ 京都-門司間の直通列車など
【朱色+グレーの時代】 急行「出雲」「しまね→おき→だいせん」「しまね→さんべ」、
京都-出雲市間の夜行列車など
昭和46年4月 お召列車(松江⇒米子:502+529号機)
参考資料:RM MODELS 116、機関車表 国鉄編Ⅱ(Rail Magazine) 他
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